少し秋めいてきたので、小さ秋を感じようと思い、墨田区の『向島百花園』に出掛けた。『向島百花園』は1804年というから徳川幕府江戸開府(1590年)より214年も経った頃。詰り江戸の文化の円熟期の頃と思われる。骨董屋を隠居した『佐原鞠鵜』が向島に膨大な土地を購入して、江戸の文人達に声がえして作った庭園で在った。言わば自分を含む江戸文人たちの開かれた集会所に似て、植えられた樹々(木々)も呼び掛けに依って寄せ集まった樹・木で植物園が出来てしまい、文人たちは自分の庭として手塩に掛けて居たそうです。庭園には梅の木が数百本と多く、その他大木、そして草木・山野草・野草秋の七草・春の七草、それに私目には雑草と思しき植物が百花どころでは無く千花万花と所狭しと生い茂って居ました。 庭の至る所に碑が在り文化人の歌が刻まれていました。30基は超えて居た様な気がしました。江戸文化の文人達はこの『向島百花園』で樹々を観て花を観て、池を眺めながら心静かに『歌』を詠って居たのだろうか。
私は近頃ようやく猛暑が納まり、萩の花でも愛でに行こうかと思いでかけたのでした。ところがどうした事か花はもう散って居ました、萩のトンネルも葉だけに為って居ました。しかも楽しみにしていた秋の七草も花は略おわってしまいました。季節は少々の気候の変化にも左右されないで確実に過ぎて行くのですね。
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