上野のお山で大道芸
公園のあちらこちらで大道芸が繰り広げられると聞いて、愛車の赤いベンツ(ママチャリ)に跨り繰り出しました。 中国雑技団が賑やかに鐘や太鼓に銅鑼を鳴らしてジャガジャガ囃し立てていました、人垣をかき分けて肩越しから観ると一輪車をバランスよく駆使した美しいチャイニーズたちが互いに投げ上げたお皿を頭で受けて何枚も重ねていました。 椅子を不安定に何個も重ねていき軟体人間の様な美しいチャイニーズが究極のバランスを取りながら一番上で片手逆立ちをしました、観客の拍手喝采を満面笑顔で受け取り愛嬌を振り撒いていました。 フィナーレは踊り子スタッフ総出で手を振り振り「シェィ、シェィ」と繰り返していました(皆さん!チップチップ!)。 次は何を観ようと歩いていると、足の長い3メートルもあろうかと思うレトロな西洋風の美男子(そうゆう仮面を着けていた)がトリッキーに歩いていた。昔のキャラクターで「キョンシー」なる可愛い中国お化けがあり、世の子供たちがそのひょうきんな歩き方を真似て飛び跳ねて遊んでいた。 西洋風の美男子がそんな動作で子供達を引き連れ無言で話しかけたり、ちょっかいを掛けたりして道行く人達の笑いを誘っていた。
次に木陰に人だかりが大きく輪になっていたのを覗いてみた、前列の人達は体操座りで膝を抱えてクスッと笑い顔の筋肉を緩めていた。 静かな短調だけの暗い音楽が地べたに置かれたラジカセから流れていて、その音楽に合わせて独りの女性が奇妙な静の動きをしていた。 風貌も着古した様な青のジャージのパンツにやはりヨレヨレの青のジャージを着て髪はといえば中途半端なザンバラロン毛で、しかも無表情な能面の玩具の面を着けていた。 突如ラジカセが奇怪な音楽をがなり奇妙な女は激しく片足ずつ放り上げ手を天空の何かを掴む様に振り上げて激しく踊りだした。 単純な動きの繰り返しなのに異様な動と静のなかに顔はあくまでも無表情であった。 やがて静と動を繰り返すうちに見物人にお面を渡して次々と同調者を増やし無表情無言の雨後の衆が集団化していました。
大道芸は他に沢山ありましたが、大衆心理を捉えた大道芸(?)には心を惹かれました。 原始宗教の巫女の様な所作に仮面を着けて別の性格も出すこともできた大衆が無言で祈り踊り狂う。 この様な大衆心理は我々が通常生活している上でも時々垣間見られます、取るに足りないと気付かずに過ごされてしまうもの、顕著に取り糺す事として考えなければならないものなどがあります。 パロディ化されて楽しく観てしまう大衆の中の独りとして私がいました、 ちょっと時間があれば私も仮面を着けて一緒に踊り出すところでした。 クワバラクワバラ
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