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■ オジーの東京ブラツ記0025 『やっと咲いた朝顔』2015.07.12

『やっと咲いた朝顔』

 我が家のベランダに『朝顔』がやっと咲きました。 『たかが朝顔、されど朝顔』で、何処にでも咲いて、観る人の目を楽しませてくれます。 私のチンタイマンションの、5階西向きのベランダに咲いたからと謂って、取り立てて特別な事も無いのです。 
 
 私が東京へ来てから4回目の朝顔の季節になりました。 来て間も無く『入谷の朝顔市』がありました。 この有名な朝顔市に、御のぼりさんの私は早速見物に出掛けました。 そして豪華に咲いた朝顔に感激し、直ぐに買い求めました。 仙台にも2鉢ほど宅急便で送り、やがて満開の朝顔で、離れている家族の感動する姿を夢見て居ました。 結果的には、最初の1〜2輪が咲いて、後は花芽が大きく開くことも無く、蔓だけがどんどん途方も無く伸びて、家族の期待を裏切っていました。次の年に買った朝顔もやはり同じで、『朝顔』は家族と私から、完全に信用を失ってしまいました。 
 
 そんな花の悩みを誰彼となく話していたら、滅法雑学に詳しい友達がアドバイスしてくれました。 それは、「朝顔は特に摘心をしないと沢山の綺麗な花は咲きませんよ」と教えてくれました。 その友達は高層マンションの、部屋とベランダで、多種の花を咲かせて居るそうです。 専門分野でも無いのでしょうが、実に事細かく植物の習性を観察して、育てて居るみたいです。 それは、我が子やペットを育てる様に、細やかな愛情を言葉に表して、手塩に掛けて育てて居るそうです。 葉に付いて孵化した蝶々にも、名前を付けて呼び掛けているそうです、「太郎ちゃん!何処に居るの?」ってね。

 そんな訳で、『何とか豪華な朝顔を育ててみたい』と思った私は、4年目を迎えるために、秋の終わりに数少ない種を採取して保管しました。 そして満を期して、今年の春は種蒔きをしました。 「先ず種は殻が固いのでヤスリなどで傷を付けると発芽し易い」、「一週間くらいで芽が出て、数枚の葉が出たら移植する」、「その後、蔓が脇から伸びてくるので3枚目の葉の先から摘心をします」。 等のアドバイスを下に、私はどんどん伸びてくる蔓と鬼ごっこの様に、執拗に摘心し捲りました。 やがてその甲斐あってか、花芽が沢山点きました。
 そのうちの1輪、2輪が咲き出し、「やっと咲いてくれたね!」と花に感謝の言葉を掛けて居ました。
 
 私は性格が素直で無い所為か、またルーズな所為か、はたまた欲張りな所為か、マニュアル通りにはしませんでした。 種に傷を付けるヤスリ掛けはしなかった。 9個撒いた種は全部発芽しましたが、移植もせず間引きもしませんでした。 間引きは忍び難く8号鉢に9本全部仕立ててしまい、ちょっと密集気味です。 全ての仕立てに沢山の花が咲くように、摘心を重ねました。 そしてやがて沢山の花芽が点きましたが、一個たりとも花芽欠きもせずに、その侭にして居ます。 追い肥もリン酸系の多い物を定期的に遣れば好いのですが、いい加減にしていたので茎は少々痩せ気味です。 一番大事な水遣りだけは欠かさずに遣ります。 少しでも怠ると葉全部が一斉に撓ってしまうのです。 これだけは植物は正直者ですね。 それから常に愛情の言葉を語り掛けるのが一番ですね、「今日も綺麗に咲いて、私を楽しませてくれてありがとう」とね。 朝顔はこれからも毎日毎朝、沢山の花を咲かせて私を楽しませてくれるでしょう。 来年はもう少しマニュアルに近づいて、選り立派な豪華な花を観たいと思って居ます。

 わたしの故郷仙台は、きっと今は紫陽花が最盛で、やがて朝顔が咲く頃になるでしょう。 子供の頃の夏は私にとって最高の素晴らしい季節でした。 田舎の山間なので、海が在る訳でもなく、遊園地が在る訳でもないのです。 夏休みは、近所の子供達みんなで早起きしてラジオ体操に行き、午前中は寺の本堂で宿題をして、午後は学校の近くの川で水遊びをします。 夜は温泉街なので共同浴場や旅館の内風呂に潜り込みます。 こんな毎日をダラダラと過ごすのですが、今思うにこんな行動の中に、大切なコミュ二ケーションが培われて居たのだろうなと感じます。 学年の差が気になら無い、近所の子供同士の遊び方、子供も大人も、知人も知らない人もみんな裸の付き合いで、知らず知らずのうちの社会勉強、そんな織りなす人間模様が人を育てて行くのだと感じています。
 
 こんな子供時代から起因する大好きな夏は、昨年はクーラー病などで体調不良になりましたが、今年は朝顔も咲いた事だし夏を大いに楽しめそうです。
 今年の『入谷朝顔市』は生憎の雨でしたが、友達から朝顔と夕顔の鉢が2つ届けられました。 私の部屋には昨年の宿根草琉球朝顔と、今年植えた朝顔とが既にあり、合計4鉢の朝顔の競演です。 しかも続く『浅草寺のほおずき市』で買って来たと云う、『ほおずき』の鉢が加わり狭いベランダが大賑わいです。 『吊りしのぶ』に下がった風鈴が、夏の心地良い風を運びます。 真夏生まれの、私の大好きな夏が一気に到来です。