戻る
■ オジーの東京ブラツ記0016 『銀座』2014.03.04

『銀座』

 銀座は憬れの夢の街、仙台を離れて暫らくしてから東京での食がイマイチしっくり来なかった事に気が付いた。 単身赴任で店屋物やお弁当が主なのは確かでしたが、レストランに行っても何かが違う、と感じたがそれは直ぐにお米が違うと判った。 副食はそれなりにオイシイのだがご飯そのものが少し不味い、炊き上がったご飯に艶や香りとほっこり感が感じられないのです。 お米の流通の値段も有るのでしょうが東北仙台で日々食べ慣れたご飯と矢張り違うのです。
 
 そしてもう一つ不満に思ったのは生の魚介類です。 刺身に寿司ネタや貝類それに珍味類は、高い物を頼めない値段にも因るのか鮮度がイマイチ足りないのです。 貝、珍味類は仙台では普段沢山食べて居たので、口が恋しくなり妙に食べたくなります。

 冬期間は牡蠣の殻ごと蒸し焼きで食べ放題、40個くらい牡蠣だけでお腹一杯にします。 他に牡蠣酢、牡蠣フライ、レモンをかけて殻付き生牡蠣、鍋物と多様に食べられます。 夏に掛けてはウニやホヤにホッキ貝、ウニは殻つきの侭スプーンで掬って食べます、ホッキ貝は炊き込みのホッキ飯やよく料理名は知らないが所謂和え物等が有ります。 ホヤは珍味だと思いますが、好き嫌いのハッキリしている人が多く居ます。 何故ならばそれは動物なのか植物なのか解らない、勿論学術的にはキチンと分類されているが、それほど異様な形をしています。 味も苦味のある甘さと謂うか妙な味、つまりゲテモノ喰いと云う人もいる。 これが美味で食べ慣れるに従い旨くなり、海のパイナップルとも謂われ、やがて病み付きになり通になります。 食べ方も色々有りますが私が一番好きな食べ方は刺身、または酢の物、究極は獲って直ぐに海の水で洗い身を取り出して其の侭食べます。 特異な味と歯触りは矢張り「海の幸」、食べる幸せです。
 
 そんな風に想う時、ふと銀座に出店した仙台の直営店が思い浮かび、矢も楯もたまらず地下鉄でブランチに出掛けるのです。 ランチには少しお高くは付きますが生ビールまで呑んで郷愁の舌鼓を打つのです。 
 それからも何度か行きましたが、不思議な事に何時も遇うお客さんが居ました。 それは初老の男女でしたがどうも夫婦では無い様な雰囲気、それならば不倫?そんな風にも見えないが、何故か長閑に呑んで食べて銀座の時間を楽しんで居る様でした。 オバサンもオジサンもお互いに負けないとばかりにガンガン呑み、刺身盛も鮨もどんどん食べている、田舎者の私は吃驚仰天です。 日長一日をそうして過ごして、銀座を謳歌している老カップルを眺めながら、私もその日の『銀ブラ』を終了して仕事場上野に帰ってきました。

 銀座は私の憧れの夢の街だから、時々当ても無くブラツキます、オジーの東京ブラツ記も書きます、今回は「食べ物」でしたが次は何にしようか考えただけでも心がウキウキと弾みます。